FENDER KURT COBAIN JAGUAR

フェンダー・ジャガーが発表されたのは1962年のこと。多彩なサウンドメイクを可能にするプリセット・トーン、クローム・パーツ、テクニカルな演奏性に応えた22フレットのミディアム・スケール。当時のテクノロジーと音楽シーンを反映し、さらに新しい時代を切り開くべく産み落とされたジャガーというモデルは、1960年代フェンダーの象徴ともいうべき存在だった。

そして、誕生から30年の時を経て、ジャガーはまた新しい時代の表舞台に立つことになる。

1990年代初頭に巻き起こり、瞬く間に世界中を飲み込んだ熱狂は、ワシントン州の小さな町、アバディーンの3人組、ニルヴァーナと共にやってきた。流星の様に瞬き、短くも鮮烈な彼らのキャリアはそれまでの価値観を完全に破壊。彼らの楽曲やパフォーマンスは、まるで後遺症のように以降の“ロック”に影響を与え続けている。

「ニルヴァーナ現象」と言われるまでに膨張した熱狂は、それまでの常識を全て覆した。

事実、レコード店のほんの一角を占めるに過ぎなかった商業的弱者「オルタナ/インディ・ロック」が、文化的にもマーケット的にも可能性のあるものとして注目されていき、“ヘアメタル”を始めとするメインストリームを完膚なきまでに叩きのめしたのだ。カウンターカルチャーとしての“ロック”において、これほど痛快な出来事はない。

「風変わりな」65年製ジャガー

1991年夏も終わりかけの頃、LAのリサイクルショップの広告に載っていた風変わりなジャガーが、一瞬にしてカート・コバーンを魅了した。

まず、左利き用のジャガー自体が貴重だった。そもそも1962年から1974年までしか生産されておらず、しかも左利き用となると、なかなか見つけられるものではなかったのだろう。この1点だけでも、カートが飛びつくには十分な理由だった。

だが、カートを最も魅了したのは、他でもない、あの風変わりなモディファイにある。

当時カートのギターテックだったアーニー・ベイリーも「彼は、あのジャガーのフィーリングとデザインをとても気に入っていたよ。あの無数のモディファイが施されたジャガーは、カートが手にするまでに、どんな“人生”を歩んできたのか…興味は尽きなかった。」と言っている。

そう、オルタナ/インディ・ロックの象徴たる65年製フェンダー・ジャガーは、カートの手に渡る以前からすでに謎めいていたのだ。

謎めいた痕跡

65年製のジャガーは、通常コントロール・ノブは2つ(マスタートーン、マスターボリューム)だが、カート・ジャガーは3つ(各ピックアップのボリューム、マスタートーン)、しかもテレキャスターなどに使われる“ドームノブ”に変更されていた。

1弦側ホーン部に搭載されている“リード・サーキット”も、通常3つのスライド・スイッチがあるのだが、そのうち2つは取り去られ、残る1つもスイッチはない。代わりにピックアップ・セレクターのトグル・スイッチが搭載されている。ピックアップもDiMarzio®のハムバッカー(Super Distortion / PAF)に変更されていた。

ヘッドの形状やFenderロゴも違っていた。

少し小さめのストラトサイズのヘッドストックに“スパロゴ”といわれる50年代のFenderロゴが、ラッカー塗装の下に貼ってあった。50年代のフェンダー・ギターにしてもロゴはラッカーの上に貼ってあるものだ。

細部にいたるまでのこだわりは、まるでワンオフ(1本もの)で製作されたカスタムモデルかのように思えてくる。

さらに奇妙なことに、このジャガーはカート・コバーンによって一躍脚光を浴びた後も、以前の持主が誰も名乗りを挙げないし、写真すら出てこない。

Smells like Teen Spirit
ジャガーを纏ったニルヴァーナの快進撃

カートのみならず、のちに世界中のファンを魅了し続けることになるそのジャガーを、カートが手に入れたのは1991年8月後半のこと。

具体的には1991年8月15日、ハリウッドにあるRoxy Theatreでのライブ直後だと推測できる。というのも、Roxy Theatreの時点ではまだ使用されていないが、8月20日からのヨーロッパツアーでは披露されているのだ。(8月23日にはレディング・フェスティヴァルに初出演)

同年9月16日、ヨーロッパから戻ったカートは、シアトルの小さなレコード店でインストア・ライブを行っている。弾いているのは、もちろんジャガー。9月10日に発売となっていたリードシングル「Smells Like Teen Spirit」のプロモーションだった。世界を震撼させ、のちに「歴史的な1枚」となるアルバム「Nevermind」の発売は9月24日。

実際のところ、レーベル(Geffen Records)の期待は、多くても25万枚程度だったらしい。前年にGeffenから名盤「Goo」をリリースしたソニック・ユースくらい成功してくれれば、ということだったのだろう。

「Nevermind」リリース直後から、アメリカ各地で演奏する日々が続く。セールスの状況は、Geffenの予想を裏切ることとなる。リリースから1ヶ月も経たない10月19日、あの乱闘騒ぎで有名なダラスのTrees Clubの頃には、アルバム・セールスの勢いは加速度的に増していった。

1991年の11月、再びヨーロッパツアー発つ頃には、ビルボードで35位をマーク。Geffenの対応が追い付かないほどの速度で売れていた。この11月にはゴールド(50万枚)、そしてプラチナディスク(100万枚)となる。

翌1992年1月11付けのランキングで、ついに1位を獲得。しかもマイケル・ジャクソンのアルバム「Dengerous」を蹴落として。

この日の夜、ニルヴァーナはテレビ番組「サタデーナイトライブ」に初出演。数百万人の視聴者が注目する中、”Smells Like Teen Spirit”を演奏。カートの手には、もちろんジャガー。この頃になると、「Nevermind」は、週に30万枚のセールスという信じがたい勢いで世界を席巻していた。

これは正真正銘の歴史的事件。もう誰の目にも明らかだった。世界中に渦巻く興奮に迎えられるように、1992年8月30日再びレディング・フェスティヴァルのステージへ。カートの手には、もはや歴史の重要なシンボルとなっていた、あの風変わりなジャガー。

ステージからTVスタジオ、世界の端から端まで、カートはこの65年製ジャガーを愛用し続けた。つまり、カートはこのジャガーを“壊さなかった”のだ。事実、カートの手によって壊されなかった数少ないギターのひとつとなる。もちろん、ガードマンと乱闘騒ぎになったダラス(1991.10.19)をはじめ、ロッテルダム(1991.9.1)やサンパウロ(1993.1.16)など、手荒い扱いは受けているのだが…。

1993年はじめに行われた3rdアルバム「イン・ユーテロ」のレコーディングで、カートはジャガーをメインで使用。その後、ツアーのためにリア・ピックアップをセイモア・ダンカンのJBに変更している。

2011年、Fender® Kurt Cabain Jaguar®の誕生

「Nevermind」から20年が経った。短くも強烈なキャリアは、ロック史上最大の出来事として人々に記憶され、20年経った現在でも彼らの音楽と遺志は鮮やかに受け継がれている。使い古された言い回しだが、本当に本当に色褪せていない。

フェンダー・ジャガーは生誕50周年を迎えようとしている。生産期間も短く、テレキャスターやストラトキャスターのようにメインストリームに輝く事はなかったフェンダー・ジャガーだが、数奇な運命によって、エレキギター史において独特の存在感を放つこととなった。

ストラトキャスターやテレキャスターが万人に愛されるギターであるということは、同時にギタリストを選ばないギターといえる。

ところが、ジャガーはそうではないのかも知れない。

どちらかと言えば「踏み荒らされていない道」を行く人々に愛されてきた。60年代のサーフ・ギタリストに、70年代のパンクスに、80年代はオルタナ/インディのオリジネイターたちに、そしてカート・コバーンに。

カート・コバーンは本能のままにジャガーを振り回した。カートは“鳴らし方”を知っていたし、 そのカートの個性に、ジャガーは応えた。

結局のところこの一点に落着く。

カート・コバーンと、この謎めいた風変わりなジャガーとの運命的な出会いが、ロックの歴史に大きな足跡を残していったことは、紛れもない事実である。

Kurt Cobain Jaguar®

Kurt Cobain Jaguar® L/H

90年代初頭、世界にオルタナ/インディ・ロックの存在を刻みつけたニルヴァーナ。そのシンボルともいえるカート・コバーンのジャガーを、本家フェンダーより復刻したモデル。

このモデルは、カートの手に渡った時点ですで施されていた特異なモディファイを忠実に再現している。

2基のハムバッキング・ピックアップ(DiMarzio(R) DP100 Super Distortion / PAF DP-103)、コントロールは3つのドーム・ノブ(volume-volume-tone)、1弦側ホーン部にはトグルのピックアップ・セレクターを搭載。ペグは Gotoh(R)のチューナー、ブリッジにはブラック・クロームのAdjusto-Matic(tm)。

ストラトのヘッド形状に50年代風のFenderロゴ(スパロゴ)、バインディングが施された指板にドットのポジションマークは本家フェンダーだからこそ再現可能な仕様である。さらに、キズや塗装剥がれ、金属パーツのくすみを再現した”Road Worn”エイジド・フィニッシュが、"グランジ"らしい風格を演出。これこそ、Kurt Cobain Jaguar® と呼ぶに相応しいギターと言える。

特典の「Fender Kurt Cobain Book」では、80年代後半からグランジシーンを追い続けたフォトグラファー、チャールズ・ピーターソンによる多数の写真と解説、そしてギターテックだったアーニー・ベイリーのインタビューも掲載、カート・コバーン・ジャガーの魅力を紐解く豪華32ページのブックレットとなっている。

Kurt Cobain Jaguar®Artist Series

Body

Body Material:
Alder
Body Shape:
Jaguar®
Body Finish:
Gloss Lacquer
Color:
3-Color Sunburst

Neck

Neck Shape:
"C" Shape
Number of Frets:
22
Fret Size:
Medium Jumbo
Position Inlays:
Pearloid Dot Position Inlays
Fingerboard Radius:
9.5" (24.1 cm)
Fretboard:
Rosewood
Neck Material:
Maple
Neck Finish:
Gloss Urethane
Nut Width:
1.650” (42 mm)
Scale Length:
24" (61 cm)
Neck Plate:
Vintage Style 4 Bolt
Neck Binding:
White
Truss Rods:
Original Vintage Style

Electronics

Pickup Configuration:
H/H
Bridge Pickup:
DiMarzio® DP100 Super Distortion
Humbucking Pickup (Bridge)
Neck Pickup:
DiMarzioR PAF DP-103 36th Anniversary
Humbucking Pickup (Neck)
Pickup Switching:
3-Position Toggle: Position 1. Bridge Pickup,
Position 2. Bridge and Neck Pickups, Position 3.
Neck Pickup
Controls:
Lead Circuit Controls (Slide Switch Down): Volume (Neck), Volume (Bridge), Master Tone;
Rhythm Circuit Controls (Slide Switch Up): Two Thumbwheel Controls for Neck Pickup Volume and Tone

Hardware

Hardware Finish:
Nickel/Chrome
Bridge:
Adjusto-Matic™ Bridge with Vintage Style
"Floating" Tremolo Tailpiece and Tremolo Lock
Button
String Nut:
Synthetic Bone
Auxiliary Switching:
2-Position On/Off Slide Switch for Switching
Between "Lead" and "Rhythm" Circuits

Miscellaneous

Strings:
Fender® USA, NPS, (.010-.052 Gauges)
Unique Features:
StratocasterR Headstock; Volume, Volume,
Tone Control
Configuration;
Toggle Pickup Selector Switch; Adjusto-Matic™
Bridge; Road Worn Aged Finish and Hardware
Treatment

Accessories

Case Gig Bags:
Standard Black Textured Vinyl Hardshell Case
Included Accessories:
Exclusive Fender Kurt Cobain Book featuring
photography by Charles Peterson
Control Knobs:
Knurled Chrome Dome

価格¥215,000 + 税
Left Handed / 価格¥215,000 + 税

国内販売開始予定:2011年11月下旬

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