今回からオールド・フェンダー・ファンの皆様のために、不定期ですがフェンダーのヴィンテージ・ギターやレア・ギターを紹介してまいります。まず初回は、レア中のレア、フェンダー・スィンガーをご紹介しましょう。
このギターは1960年代末に作られたもので、Fender Bass V(五弦ベース)のボディ材を削って仕上げた変形ボディと、ムスタングのネックを組み合わせて製作されました。当時のフェンダーはCBSの経営下に入り、企業としての効率を求められるようになり、過剰となっていたパーツ在庫の処理のために苦肉の策として、別々のボディとネックを組み合わせて作ったのがこのギターだったのです。製造本数は300とも500とも言われますが、実際には定かではなく、流通ルートによっても製品名が異なるという珍品でした。
写真のギターはSMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)の筋野(スージー)さんご所有のもので、当時のものとしては非常に珍しくヘッドに「SWINGER」と書かれたシールが貼られています。これは、フェンダーからこのギターを仕入れた楽器店が独自に命名し、シールを貼ったもので、このシールが残っているものは非常に数少ないことで知られています。またボディ・カラーの黒も珍しく、楽器店で塗り替えたのではないかとも言われていましたが、仕上げ状態をチェックするとフェンダーの工場でのフィニッシュと言って間違いなさそうです。さらにフィンガーボードには、ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)材が使用されています。
この楽器の製造年は、ポット等のパーツや、ネックの製造デートは66年となっていますが、その他の仕様に68〜69年の特徴が見られ、組み上げられたのは69年頃と思われます。この辺りからも、長年の過剰在庫処理という製造意図が読み取れますね。

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